あの夏の季節が僕に未来をくれた
(これじゃ、まったく俺自身じゃないか!)
兄貴に成り済まして話をするつもりだった俺は、母と久しぶりに会話できた喜びで、すっかりそれを忘れていた。
紅茶から口を離して恐る恐る母を窺うと、母は特に気にするでもなく、自分のマグカップに口をつけている。
そう……だよな?
まさか兄貴の体を借りて俺が話してるなんて思うわけないか。
ホッとしたような寂しいような複雑な気持ちを押し込めて、今度はなるべく兄貴に近い話し方を心がける。
「それで、進路のことなんだけど……」
さっきまでと違い、わざとぶっきらぼうにそう言った。
「進路、どうするか決めたの?
ごめんね?もうそんな時期だって気付かなくて……
何でも言って?
どんな進路になっても、お父さんもお母さんも、あなたを応援するつもりだから」
俺の目を……いや、兄貴の目を真っ直ぐに見つめてそう言った母からは、強い意思のようなものが見えた。
きっと父をも説得するつもりで言ってくれてるのだろう。
どんな道を選んだとしても、私たちはあなたを応援する。
そんな力強い言葉だった。
兄貴に成り済まして話をするつもりだった俺は、母と久しぶりに会話できた喜びで、すっかりそれを忘れていた。
紅茶から口を離して恐る恐る母を窺うと、母は特に気にするでもなく、自分のマグカップに口をつけている。
そう……だよな?
まさか兄貴の体を借りて俺が話してるなんて思うわけないか。
ホッとしたような寂しいような複雑な気持ちを押し込めて、今度はなるべく兄貴に近い話し方を心がける。
「それで、進路のことなんだけど……」
さっきまでと違い、わざとぶっきらぼうにそう言った。
「進路、どうするか決めたの?
ごめんね?もうそんな時期だって気付かなくて……
何でも言って?
どんな進路になっても、お父さんもお母さんも、あなたを応援するつもりだから」
俺の目を……いや、兄貴の目を真っ直ぐに見つめてそう言った母からは、強い意思のようなものが見えた。
きっと父をも説得するつもりで言ってくれてるのだろう。
どんな道を選んだとしても、私たちはあなたを応援する。
そんな力強い言葉だった。