あの夏の季節が僕に未来をくれた
「ありがと……

あの…さ……もし、俺が進学したいって言ったらどうする?」


このあと、本当に兄貴が自分でそれを母に伝えた時に違和感がないように。


俺は敢えて疑問系で聞いてみた。


進学したいってはっきり伝えてしまえば、何で知ってるのかと兄貴に不信感を持たせてしまうかもしれない。


兄貴が進路について考えてるんだってことを、伝えることさえ出来ればそれで良かったから。


「だから、もし進学するにしても就職するにしてもお母さんもお父さんも反対はしないし、もちろん出来る限りのことはするから……

雅紀は心配しないで好きな道をいきなさい」


母は安心させるように、一つ一つの言葉をゆっくりと丁寧に俺に伝えてくる。


「そっか、わかった

まだ考え中だけど、母さんにそう言ってもらえたら、選択肢も広がるし安心したよ

ありがとう……」


そう言ってしまってから、もし兄貴ならそんなに簡単に礼なんか言わないかもしれないと後悔したけど。


でも俺的には、ここで礼を言える兄貴でいてほしい。


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