あの夏の季節が僕に未来をくれた
高校に入学すると、俺は野球部に入り、弟はバスケ部に入ったようだった。


けれど弟がまともに部活に参加出来たのは一年のうちだけで、二年生になると学校に通うのもままならない状況だったらしい。


毎日部活で遅くなる俺と、体調が悪く早退や遅刻の多くなっていった弟とは、すれ違いの日々が続いていた。


へとへとになり帰宅すると、もうすでに弟は寝ていて顔を見ることもなかったし、朝は朝でいつまでも起きてこない弟を気にかけながらも、朝練で早く出かけなくてはならなかった。


高校に入って二度目の夏が過ぎ二学期に入ると、弟は学校に行ける日も少なくなっていたらしい。


だけど母は俺に心配かけまいと、そのことをずっと隠していた。


たぶん弟もそれを望んだんだろう。


だから俺は知らなかった。


弟がそんなことになっていたなんて……


そんなに病気が悪化していたなんて……


俺がそのことを知った時にはもう






















弟はこの世には存在していなかった。



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