あの夏の季節が僕に未来をくれた
「は、ははっ……そうだよな?

わかった、じゃあほんとに明日よろしく

悪かったな、遅くに」


「いいって、気にすんなよ

じゃ、明日な?おやすみぃ」


カチャ……ツーツーツーツー……


(ふぅ……これでよし!)


後は佐伯が兄貴を誘い出して話を聞いてくれれば。


きっと兄貴も佐伯になら本音を話すに違いない。


少しだけ肩の荷が降りて、俺はベッドに潜り込んだ。


それからゆっくり兄貴の体から抜け出す。


まったく世話が焼ける。


だけど、俺が生きてる頃に兄貴がしてくれたことに比べれば、なんてことないように思えた。


むしろ、兄貴のために何か出来ることが嬉しくもある。


恩返し……みたいなもんかな?


まあ、すみれちゃんに伝えてもらいたいことがあるのも本当だけれど。


まずは兄貴の心のシャッターを開いて、家族みんなが幸せになるようにしていきたい。


そうは言っても、タイムリミットはあるわけで……


自分に時間がある間に事を運びたい気持ちもあるけど。


急がば回れ……だよな?


爆睡する兄貴を上から眺めながら、俺は自分を納得させるように、そう思った。
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