あの夏の季節が僕に未来をくれた



「あ、青木!

今日いつものとこでな?」


そう佐伯に声をかけられて、俺は特に気にすることもなく、おぉと返事をした。


最近、帰りにあの公園で話をするのは定番みたいなもので。


だから佐伯の誘いも、いつものものだと思っていたから。


それに、昨日の話も佐伯に聞いてもらいたかったのもある。


ほんとは誰にも言いたくない内容のはずなのに、なぜか佐伯には話せるような気がした。




放課後――


いつもの公園に着くと、佐伯はまだ来ていなかった。


だんだん気温が上がり、初夏の爽やかな暑さから、夏本番のうだるような暑さに変わりつつある。


額から流れる汗を拭いながら、近くの自動販売機に飲み物を買いに走った。


あいつもきっと喉が渇いてるだろうから、買っといてやろう。


炭酸のジュースを2本買うと、いつものベンチを振り返った。


「青木!お待たせ」


佐伯がちょうど来たとこみたいでそう言いながら手をひらひらと振っている。


急いで駆け寄ると、佐伯にさっき買ったばかりの冷えた炭酸飲料を手渡した。


< 119 / 248 >

この作品をシェア

pagetop