あの夏の季節が僕に未来をくれた
「うわっ、冷てっ!

サンキュ、悪ぃな?」


佐伯は嬉しそうにそれを受けとると、ペットボトルの側面を額に当てて気持ち良さそうな顔をしてる。


俺もまた同じように頬っぺたにそれを押し付けながら、ひんやりした感触をしばらく楽しんだ。


「あっちぃよな~?

そろそろ公園とかやばくね?」


「確かにな?

まあ夕方だからまだましかもだけど、これからどんどん暑くなるだろうし……」


言いながらこの時間がなくなるのは寂しいなと感じた。


俺にとって佐伯とゆっくり話せるこの時間はすごく大切なものだったから……


「今度さ、うちに来いよ?

お前んちとは反対方向だけど、こっからわりと近いし」


佐伯はニッと笑って何でもなさそうに、さらっとそう言ってのけたけど。


俺は友達の家になんか弟の付き添いで行った経験しかなかったから。


佐伯の誘いは涙がでるほど嬉しかった。


他のやつが聞いたら当たり前のことだと思うかもしれないけど、俺にとってはそのくらい貴重なことだ。


「いいのか?俺なんかが行っても……」


だからついついそんな風に言ってしまって。


佐伯を軽く不機嫌にさせた。


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