あの夏の季節が僕に未来をくれた
「……まぁたお前はそうやって!

俺なんかとか言うなよ!

俺をなんだと思ってんだよ!

お前だから誘ってんだろ?

悪いけど、俺高校入ってうちに呼んだのお前が初めてだから」


ふてくされたようにそう言い放った佐伯の言葉に、俺は驚きを隠せなかった。


(俺が初めて?嘘だろ?)


だってあんなに友達もたくさんいて人気もあるのに……


絶句している俺の気持ちを読み取ったように、佐伯は言った。


「あのさ……俺が人気者とか思ってる?

確かにクラスで騒いでるかもしんないけど、うわべだけだし

こうやって本音で話せるのってお前だけなんだぜ?」


そう言ってから佐伯は照れたようにそっぽを向いた。


「悪い、お前がそんな風に思っててくれたなんて……

俺、バカだな?」


佐伯の懐の深さに俺はやっぱり敵わない。


相変わらず自分のことばっかりだ。


あの頃から全然成長してない自分自身に、俺は呆れるしかなかった。


せめて……


こいつに嫌われないような、自分を誇れるような人間になりたいと思う。


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