あの夏の季節が僕に未来をくれた
佐伯は俺の顔をまじまじと見ながら、今度は申し訳なさそうに呟いた。


「悪いな?俺、そっちの趣味ないから……」


「……っ!」


佐伯の言ってる意味をようやく理解して、俺は真っ赤になって絶句した。


「ぶ、あははははっ!

今の顔!ウケるぅ~」


俺の反応を見て大爆笑中の佐伯に、俺は冷ややかな視線を送る。


「あのなぁ!俺だって違うっつーの!」


「や、ほんと真っ赤になるとか、ほんとみたいだから止めて?

腹いてー、お前そういうとこほんとウブだよな?」


涙を流しながらウケている佐伯の言葉は、俺をさらに貶めるのに充分だった。


俺っていったいどんな印象なんだか……


大きく溜め息をつきながら、隣で笑う友人の顔を見る。


だけどこうやって馬鹿を言い合えるのも、初めてなんだよなんて。


からかわれるのがわかってるからもう口には出さなかったけれど。


こんな風に佐伯と笑い合える時間が、俺は本当に嬉しかったんだ。


「あ~笑えた

……青木?怒ってんの?」


「いや、呆れてんの」


「悪かったよ、そんな落ち込むなって!」


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