あの夏の季節が僕に未来をくれた
俺の肩をバシバシ叩きながら、佐伯はまた堪えきれないというように笑い出す。


「まあ、いいけどね?」


俺も思わずクスッと笑ってしまいながらそう言うと横にいる佐伯の方に顔を向けた。


まだ笑ってると思った佐伯の顔はすでに真面目な顔に戻っていて、俺を見ることなく真っ直ぐに前を見つめている。


こういう時の佐伯は何か話がある時だ。


俺も真面目に聞く体勢を作って、佐伯の言葉待つ。


「で?進路のこと、親父さんに話したのか?」


さっきまでとは全然違う話の内容に、一瞬たじろいだけど。


きっと心配してくれてたんだなと、納得して頷いた。


「言うには言ったんだけどさ……」


「うん、反対でもされた?」


「や、逆……かな?

頑張れって言われた」


「じゃあ良かったじゃん!

なんでそんな微妙な顔してんだよ」


そうなんだよな?


別に反対された訳じゃないんだし。


落ち込む理由なんてないはずなのに。


これは俺のただのわがままなのかもしれない。


もっと構って欲しかったってだけの。


佐伯にわかってもらえるだろうか?


俺のこんなもやもやした気持ちを。


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