あの夏の季節が僕に未来をくれた
話すかどうか迷っていると、佐伯がおもむろに口を開いた。


「応援はしてくれたけど、物足りない……

そんな感じ?」


その言葉が妙に当てはまってて、驚いて顔を上げる。


それを肯定の意味だと受け取ったのか、佐伯は満足そうに笑った。


「お前ってさ、こんなにわかりやすいのに、親父さんは何で気づかないんだろうな?

ていうかあれか?

似た者同士なんじゃねえの?

お互い言葉が足りないだけって感じするけどなぁ」


他の誰かに言われても到底納得なんか出来ないのに、佐伯に言われるとそうなのかなって思えた。


確かに言葉は足りてない。


それは自覚してる。


それなのに自分のそれは置いといて、父の言葉の足りなさにいじけてるなんて。


「うん、そうかもな?

相手から言葉が欲しいなら、もっと自分からもアピールしなきゃダメだよな?」


「そ、わかってんじゃん

いっつもお前は言葉少ないくせに、自分の気持ちはわかってほしい~って、丸わかりの態度だもんな?

ほら、俺は?わかってやれるけど、普通はそれだけじゃわかんないと思うぜ?

それが例え親だったとしても……」


< 125 / 248 >

この作品をシェア

pagetop