あの夏の季節が僕に未来をくれた
だから母にお茶を淹れるって言われて、何となく不思議な気持ちになった。
こんな風に弟は母とお茶を飲みながら話をしていたんだな、なんて。
弟の経験を疑似体験しているかのような、そんな変な気分になったんだ。
俺がキョトンとしている間にも、母は手際よくお茶を淹れて戻ってきた。
「はい、いつものね?」
母はそう言ってテーブルにカップを置いたけど。
いつもの、の意味がわからなくて、恐る恐るカップを手に取った。
香りを嗅ぐと、どうやらそれは紅茶に生姜が入っているらしい。
「いつものって……
俺、これいっつも飲んでたっけ?」
どうしてもそんな記憶がなくて、思わず母にそう聞いた。
一瞬……
ほんとに一瞬だけ、母の顔が強張ったような気がした。
でもすぐにいつもの顔に戻って、俺を見る。
それから肩を竦めながら、少しおどけたように言った。
「ごめん!いっつもお母さんが飲んでるものだから、ついつい雅紀も飲んでると思い込んでたわ
そうよね?雅紀と一緒にお茶を飲むなんて珍しいものね?
ジンジャーティーなんだけど、どうかしら?
口に合えばいんだけど……」
俺に言葉を挟ませないような勢いで一気に捲し立てると、母は少しだけ悲しそうな顔をした。
こんな風に弟は母とお茶を飲みながら話をしていたんだな、なんて。
弟の経験を疑似体験しているかのような、そんな変な気分になったんだ。
俺がキョトンとしている間にも、母は手際よくお茶を淹れて戻ってきた。
「はい、いつものね?」
母はそう言ってテーブルにカップを置いたけど。
いつもの、の意味がわからなくて、恐る恐るカップを手に取った。
香りを嗅ぐと、どうやらそれは紅茶に生姜が入っているらしい。
「いつものって……
俺、これいっつも飲んでたっけ?」
どうしてもそんな記憶がなくて、思わず母にそう聞いた。
一瞬……
ほんとに一瞬だけ、母の顔が強張ったような気がした。
でもすぐにいつもの顔に戻って、俺を見る。
それから肩を竦めながら、少しおどけたように言った。
「ごめん!いっつもお母さんが飲んでるものだから、ついつい雅紀も飲んでると思い込んでたわ
そうよね?雅紀と一緒にお茶を飲むなんて珍しいものね?
ジンジャーティーなんだけど、どうかしら?
口に合えばいんだけど……」
俺に言葉を挟ませないような勢いで一気に捲し立てると、母は少しだけ悲しそうな顔をした。