あの夏の季節が僕に未来をくれた
「私も……

私も大好きだったよ?

なのに……なんで死んじゃったのよぉぉ!」


いつものすみれちゃんからは考えられないほど激しく。


強い口調で死んだことを責める彼女に、俺は動揺した。


「……ごめん」


俺は彼女に触れることさえ出来ずに、そう言うのが精一杯だった。


泣き叫びながら顔を覆う彼女を見下ろしながら、抱きしめてやることが出来ない自分に苛立つ。


拳を痛いほど握りしめて、俺は彼女が落ち着くのを待った。


やがて、彼女は泣き止んで、鼻を啜りながらゆっくりと顔をあげた。


目は腫れて涙で濡れたその顔は、何もしてくれない俺を非難しているような悲しみに満ちた表情だった。


「俺のこと恨んでいいよ……

嫌いになってくれてもいいから……だから……

思う存分俺を罵って……そのあとは忘れて?」


ほんとは忘れてほしくなんかないのに……


嫌ってほしくなんかないのに……


この先の将来に彼女を幸せにすることが出来ない俺には。


忘れてもらうことしか、今……彼女に言えることはない。


だけどこれだけは伝えたい。


すみれちゃんのせいじゃないって。


自分を責めないでって。


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