あの夏の季節が僕に未来をくれた
見た目も悪くなかったことから、中学時代は女子にもモテた。


いつもクラスの中心にいて、バカなことばっかりやってる俺を好きだと告げてくる女子は一人や二人じゃない。


バレンタインデーには少女漫画に出てくる男子のように両手で抱えきれないほどチョコレートを貰ったっけ。


当然、兄貴だって同じ顔なんだから、俺と同じように貰っていたけど。


でも無口で怖いくらいの雰囲気を持つ兄貴に彼女はいなかった。


俺を支えるのに女は邪魔なんだと、いつだったか彼女を作らない理由を訊いたときに兄貴は言ってたっけ。


俺は誰にも悟られないように病気の恐怖と闘いながら、今しか出来ないことをやらなければと必死だったっていうのに。


だから俺の犠牲になって、いろんなことを我慢する兄貴に苛々することも多々あった。



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