あの夏の季節が僕に未来をくれた
女の子と付き合うことで、自分の病気を忘れられる気がした俺は、来るもの拒まず片っ端から女子と付き合った。


でも、別に好きでもない相手との付き合いなんて長く続くはずもなく、結果的にそうなってたといってもいいかもしれない。


普通ならそんなことばかりしているやつなんて、周りから呆れられたり軽蔑されたりしそうなものなのに、なぜか俺はそんな噂もなく、いつも周りにはたくさんの友達がいた。


それが病気のせいなのか、俺の魅力なのかはよく分らなかったけれど。


そのうち俺と付き合うと、別れた後に素敵な恋が出来るなんて、真しやかに囁かれてたのを知ったのは、中学を卒業する頃だった。


結局、俺が遊んでたと思ってた行為は、実際には次の恋をするための彼女たちのステップになっていたらしい。


俺を好きなんじゃなくて、それが目当てだったんだと知った時、初めて俺は虚しくなった。


モテてるなんて舞い上がってたのは自分だけで、誰も俺のことなんか必要としてなかったんだって……


そして俺自身も彼女たちをそれほど必要としてはいなかったんだってことに、気づいてしまったから。


それから俺は無意味な行為をするのをピタリと止めた。


だから驚いたんだ。


自分がこんな気持ちになるなんて……


高校受験当日に出逢った、笑顔の可愛い年上の白衣の天使。


呼吸の荒い俺を心配そうに、でも手際よく処置してくれた彼女に……















俺は初めて恋をしたのかもしれないと思った。

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