あの夏の季節が僕に未来をくれた
もしかしたら聞く耳を持たない俺に痺れを切らして、強行手段に出たのかもしれない。


ほんとは俺に何かを伝えたかったんだろうか?


確かにあの時、あいつは俺が心配なんだと言っていた。


「雅紀……怒らないで聞いてくれる?」


「……何?母さん、何か知ってんの?」


「知ってるわけじゃないけど、これはお母さんの推測……かな?」


「推測……

……わかった、聞くよ」

怒らないで聞いてほしいってことは、これから母が言おうとしてることは、俺にとってあまり気分がいいものじゃないらしい。


だけど、何か考えがあるなら……


弟の言わんとしていることがわかるなら……


例え、気分のいいものじゃなかったとしても、聞いておきたいと思った。


「もし、あの子に未練があるとしたら……

やっぱり双子である雅紀のことじゃないかって思うの……

あの子は家族にも気を遣う子だったから

きっと……自分がいなくなってギクシャクする私たち家族のことが心配だったんじゃないかって……

あなたは昔から甘えるのが下手な子だったし

お父さんはあの子が亡くなって明らかに傷ついてた……

だから……

もしかしたら、私たちの溝を埋めるために、雅紀の体を借りて動いてくれたんじゃないかって……」


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