あの夏の季節が僕に未来をくれた
いるんだと信じて、俺に話しかけながら。


気持ちの整理をつけるように……


自分の言いたいことだけ言って消えたと言われれば、否定できなかった。


だから俺は見えてないのを承知で、敢えてすみれちゃんの目線の先に移動する。


ちゃんとすみれちゃんの顔を見て、話を聞くのが礼儀だと思ったから。


携帯電話を握りしめながら一旦俯くと、彼女はもう一度顔を上げる。


そして、俺へのメッセージをはっきりとした声色で、しっかり話し始めた。


「もう…大丈夫だから…

あなたのこと忘れることにするから!

だから安心して成仏して欲しい……

私はこれからたくさん恋をして、結婚も…出産だってして……

幸せになるから!

この世に留まってる理由が、もし私なら……

会いに来てくれただけで充分だから!」


涙を堪えるような表情ですみれちゃんはそう叫ぶ。


それから一呼吸置いて、今度は静かに話し始めた。


「……最後に抱き締めてくれてありがとう

わがまま聞いてくれて嬉しかった……

例え、体はお兄ちゃんだったとしても……

私はちゃんとあなたを感じられたよ?

もう大丈夫……

……あなたに会えて、幸せだった





だからもう終わりにするね?


……バイバイ」


< 203 / 248 >

この作品をシェア

pagetop