あの夏の季節が僕に未来をくれた
「たぶん、あいつは自分でケリをつけたんだと思う

あの日、あいつが学校に行ったのは、先生に会うためだったんだよ……」


あの日というのが、俺の様子がおかしかった日であることは、もう察しているだろう。


あいつが俺の体で学校に行ったのは、彼女のためだったことを、俺ははじめて両親に話した。


「……そうだったの」


「それで、ちゃんと先生には伝わったのか?

あの子の気持ちは……」


母はその時の様子を思い出すように涙を溢した。


父はやはり男親なせいか、相手のことが気になるみたいだった。


これから先、大切な人を失った悲しみから逃れられないんじゃないか?


弟の亡霊に縛られたまま前に進めないんじゃないか?


きっとそんな風に思ったのかもしれない。


「それは……わからない

あれから先生には会ってないし、俺も自分のことでいっぱいいっぱいだったから……」


あの時の俺は自分のことで精一杯で、先生を気にかけることなんか出来なくて……


逆に動揺してる俺の方が、彼女に気遣わせてしまったような気がする。


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