あの夏の季節が僕に未来をくれた
あいつがしてくれた置き土産は、俺のために心配してくれた証で。


俺はそのことによって、救われた。


佐伯にしろ母にしろ父にしろ……


自分が嫌いで、こんな俺なんか誰も気にかけないと思っていた卑屈な思いを、簡単に払拭してくれた。


余計なことしやがってなんて以前なら思ったかもしれない。


でも今は、俺は俺として生きていいんだって。


幸せになってもいいんだって。


やっと思えるようになったんだ。


そして俺は、あいつのことが、本当は大好きだったんだって……


ようやく素直に認めることが出来て、心の中で弟にありがとうって呟いた。


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