あの夏の季節が僕に未来をくれた



ゆらゆらとゆっくりとどこかへ昇っていく。


真っ暗な空間に、ここがどこなのかさえわからない。


すみれちゃんとさよならして、俺は行き場を失った。


最後の瞬間まで、すみれちゃんの側にいたいと思ったけれど、それはもう叶わない。


彼女は俺ときちんとお別れしてくれたんだから……


保健室にぼんやりと留まったまま、俺は途方に暮れていた。


このまま早く成仏させて欲しいと願う。


もう充分後悔したし、傷つきもした。


これ以上この世に留まらせる意味も、もうないだろう?


すみれちゃんのために……


兄貴のために……


母のために……


父のために……


俺はできうる限りのことが出来たと思ってる。


俺がいなくてもみんながちゃんと前を向いて歩いていけるように……


だからもう悔いはない。


死んだことはしっかり後悔したけれど、そこに関しては頑張ったわけだから、誉めてもらいたいくらいだ。


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