あの夏の季節が僕に未来をくれた
――ドクン!


無の静寂しかなかった空間に、ふいに何かの音を感じた。


その音はだんだん規則正しくずっと鳴り続ける。


トク…トク…トク…トク……


なんだか懐かしい安心する音が奏でられる。


その音が自分の中から響いてることに気がつくまで時間はかからなかった。


闇と同化したと思われた俺の体に変化が訪れる。


意思を持って動いてみた。


自分の意思に従って、それらは動く。


外から聞こえる音。


優しい愛のメロディー。


ゆっくりと時間が流れ、俺がその空間から出る瞬間がやってきた。


ずっと暗闇だったそこに一筋の光。


懐かしい光を見て、俺は懸命に出ていこうとする。


パシャンと何かが弾けて……






















俺は大きく息を吸い込んだ。
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