あの夏の季節が僕に未来をくれた
「俺、先生の生徒じゃないよ……

だからそんなに自分を責めないで?

学校違うんだし、もし先生も俺のこと思ってくれてるなら……

俺と……付き合ってよ」


ギュッと抱き締めながらそう言うと、彼女はピクッと体を揺らした。


頷いてくれるだけで、それだけでいいから……


先生、うんて言ってよ……


長い長い沈黙が訪れる。


俺に応えることも、俺から離れることもしないまま、彼女は身動きひとつしないで俺の胸に顔を埋めてた。


結局……


先生はうんとは言ってくれなかった。


だけど、もうこれきりなのは寂しいからメールはしてねと。


その思わせ振りな態度に俺は蛇の生殺しか?と溜め息をついたけど。


それでもやっぱり俺もこれっきりなのは寂しくて……


うんと頷いてしまったんだ。


彼女はそんな俺を見て嬉しそうに、成人するまで待っててあげるねと言ったけど……


内心そんなに待てねぇよって思ったけど……


でもそこまで待てば受け入れてもらえる思いなんだと、俺は素直に嬉しかった。


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