あの夏の季節が僕に未来をくれた
《思うだけで伝わるから》


(何?お前、幽霊?)


《弟に向かってその言い方はないんじゃない?》


(だって、死んでんだぞ?お前は!わかってんのか?)


《わかってるよ、自分で飛び降りたんだからね?》


(……お前、すごいことさらっと言うね?)


《だって今更悔やんだって仕方ないでしょ?》


(じゃあ何で出てきたんだよ?

後悔してるからじゃないのか?)


《だから、兄貴が心配で》


(俺?心配してもらう必要ないけど)


《ほんとにそう思ってる?明らかに卑屈になってるくせに》


そう言われて、俺は弟を遮断した。


考えることも止めたし、聞くことも止めた。


死んだやつになんか言われたくない!


そう強く思ったから……


勝手に入ってきたと思われた弟の声は、意外にも俺の意思で遮断できた。


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