あの夏の季節が僕に未来をくれた
受験会場に到着し、教室へと向かう。


俺たち五人は一緒に願書を出したからか、みんな同じ教室だった。


受験番号順に席に着くと、廊下側の一番後ろが俺の席だった。


見ると弟は俺の前の席だ。


他の三人も同じ列の前の方に座っている。


前の席の友達としばらく雑談しながら笑い合う弟を見て少しほっとしながら、俺は鉛筆と消しゴムを机の上に用意した。


チャイムが鳴り、試験監督が教室に入ってくる。


騒がしかった教室が、一瞬にして静まり返る。


先生が注意事項を説明したあと、問題用紙と答案用紙が配られた。


静かになった教室には、パラパラと紙をめくる音だけが聞こえる。


「では、始めてください」


そう先生が号令をかけると、一斉に紙に書くカツカツといった鉛筆の音が響き渡る。


俺もそれに乗り遅れないように、急いで自分の名前と受験番号を記入した。


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