あの夏の季節が僕に未来をくれた



その時……


俺は何を考えていたんだろう?


両親のこと?兄貴のこと?


それとも……


すみれちゃんのことだったのかもしれない。


朝方、彼女の声を聞いたのだけはよく覚えてる。


具合が悪くて朝起きられないって言ったら、モーニングコールをしてくれるようになった。


《学校に行けなくても、ちゃんと朝は起きてお日様の光を浴びなきゃだめだよ!》


そう必死な声で言ってたっけ……


今思えば、彼女は曲がりなりにも養護の先生なわけで……


きっと、俺のような精神疾患には日光が必要だと考えてのことだったのかもしれない。


いつも心配してくれて、惜しみ無い愛情を注いでくれた彼女に……


本当に感謝の言葉しか浮かばない


俺に人を愛することを教えてくれた大切な人。


だけど彼女にとっては、辛いだけの恋だったかもしれない。


でもだからこそ、すみれちゃんには幸せになってほしいと思う。


< 60 / 248 >

この作品をシェア

pagetop