あの夏の季節が僕に未来をくれた
その時、俺は兄貴のすぐ傍に浮かんでいた。
兄貴に遮断されてから、こちらからコンタクトが取れなくなったからだ。
だけど兄貴は自分のシャッターは開けないくせに、最近出てこないだの、こういうときに出て来いだの勝手ばかり言っている。
俺だって話しかけたいし、すみれちゃんに伝えたいことだってあるのに。
何度試みても兄貴のシャッターは開かない。
たぶん、自分でも無意識なんだろう。
心の奥底にある俺を拒絶する気持ちが、鍵をかけたまま開けてくれないのだ。
俺には温度も湿度も眠気さえわからないけれど。
今の教室の兄貴の席が、最高に居眠りに適した環境だということはわかる。
自分もよく同じような席で中学のとき、よく居眠りしていたからだ。
真面目な兄貴が落ちるはずないって俺は勝手に思ってた。
だけど兄貴はゆっくりと夢の中に入っていく。
俺はなんとなく……
そう、なんとなく兄貴がほんとに寝てしまったのかどうか確認してみた。
そしてそれは突然起こったのだ。