あの夏の季節が僕に未来をくれた
カーテン越しにも分かるくらいの日射しに、眩しくて目が覚めた。
じっとりと体に汗をかいているのがわかって気持ちが悪い。
まだ眠い目を擦りながら、雅紀はタオルケットを乱暴に剥いだ。
もうすぐ夏休みがやってくる。
3年の夏といえば進路に忙しい。
今まで投げやりだった俺も、佐伯と仲良くなってからは、将来のことについてよく話すようになっていた。
自分の中の変化に驚きながら、友達の存在がこんなにも大きいものなのだと知る。
きっと自分の殻に閉じ籠っていた頃なら、自分の立場を悲観してるだけで、将来に希望を見いだすことなんか出来なかったと思うから。
勉強は嫌いじゃない。
あの頃も弟の心配をしながらクールぶってた俺は、勉強することで自分を保ってた部分もある。
あいつが死んで、誰に期待されるわけでもない環境に、どうでもよくなった時期もあったのは確かだけれど。
今は、自分のためにきちんと将来のことを考えたいと思うようになった。
きっと佐伯の影響かもしれない。
あいつはしっかり自分を持っている。
将来の目標をキラキラした熱の帯びた瞳で語る姿は、男の俺でもカッコいいと思えた。