あの夏の季節が僕に未来をくれた
納豆やら海苔やら魚やら味噌汁やら……


いつもの純和風な朝食メニューに雅紀は顔をしかめた。


「母さん、ごめん!

食べてる時間ないや!

野菜ジュースだけ飲まして?」


ご飯をよそおうとしていた母の手がピタッと止まった。


それからゆっくり茶碗をテーブルに戻すと、冷蔵庫へと足を運ぶ。


野菜ジュースを冷蔵庫から取り出すと、グラスにそっと注いでくれた。


「はいどうぞ

……雅紀が寝坊するなんて珍しいね?」


ありがとう、とそれを受け取りゴクゴクと飲み干すと、グラスを母に渡しながら小さく、まあねと呟く。


それ以上は何も聞くことなく、母はグラスを持ってシンクへと歩いて行った。


弟ならきっと、もっと会話が続くんだろうか?


そう思ったけど、やっぱり気の利いた言葉なんか浮かんでこなくて、何となく気まずい思いを残したまま、行ってきますと早口で言うと、急いで玄関を出た。


友達が出来て、正直学校に行くのは楽しくなった。


どうでもいいと思えた行事さえ、仲間とやればワクワクした。


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