夢恋
体育館に向かう途中も、ナッチが隣で楽しそうに話してたけど、あたしの頭はあのことでいっぱいで、ナッチの話に相づちしか出来なかった


そんなあたしの姿を遠くから睨んでる人に、あたしは全く気付かなかった…



式が終わると、いつの間に来たのか戸城の姿があった

戸城を見た瞬間自然に笑顔がこぼれて、心臓がドキドキする。さっきまでの暗い気持ちが、一気に晴れていく





久しぶりにあった戸城は、少し髪が伸びていたけど、それ以外は何も変わっていなかった


戸城の前の席に座り話しかける

『おはよっもう風邪治った?』

『おぅっもう平気。お見舞いありがとな!かなり助かった』

そう笑って言う戸城に、あたしはかなり安心した




そのあと先生が来るまで、夏休みの出来事などを話した

戸城はほとんど外に出ず、甲子園に夢中になってたらしい


あたしはあまり野球には興味ないけど、戸城が楽しそうに話すから、こっちまで楽しい気持ちになる




この時のあたしは朝の出来事なんて、すっかり忘れていた
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