夢恋

戸城の過去

『ご注文お決まりですか?』

前を見ると、満面の作り笑顔の女の人が立ち、横にはメニューを凝視する戸城…

『相沢何食う?』

『…ハンバーガーセット』

『じゃあハンバーガーセット二つで』

笑顔で店員に2つ指を立てて、戸城が注文をする

あたしはなぜかマックにいた…







『何でマックなの?』

『へ?』

口の周りにケチャップを付けながら、あほみたいな顔でこっちを見る

こいつ何考えてんだろ――…


『とりあえずお腹いっぱいになったら、元気になるかなって思って』

そう自信満々に言う戸城に、あたしは大きくため息を吐いた

あたしは犬かよ…


『だーかーらとりあえず食えって』

渋々ハンバーガーにかぶりつくと、戸城は満足げに笑った






『口ケチャップ付いてるよ』

『えっまじ!?』

慌てて口の周りを拭ったが、ケチャップは綺麗に取れておらず、口紅がはみ出たようになっているのに、思わず吹き出してしまった

『ぷっぁははっ』

すると、戸城も笑い出す。男の前で笑うなんて、最近ぢゃありえなかったけど、あたしは普通に笑えてた




戸城は不思議な人だ…。噂ではめちゃくちゃ軽いって聞いてたから、変なとこに行くのかと思ったらマックだし…


戸城って……ホントはどんな人なんだろう……?
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