麗しの彼を押し倒すとき。



「で、鮫島くん達から逃げて友達がいなくてここに来たの?」

「う……」


図星をつかれて食べていたおにぎりが喉に詰まりかけた。


「桃子先生……なんか今日意地悪」


今日も色気たっぷりの姿を披露する先生は、「あら、ホントのこと言っただけよ」とますます私の傷口をえぐった。


そう、今日も私は昼休みになると保健室に足を運んでいた。

多くは今桃子先生が言った通り、女友達が出来なくて食堂でぼっち飯をするのが耐えられないという理由。

もう一つは凪達に見つかる前に、どこかに隠れたいという理由からだった。


「で、何であの子たちのこと避けてるの?」


桃子先生は穏やかに笑いながら、私が座っている席の前に腰かけた。



「…だって、凪たちといると騒がれるし」

「あーまぁ確かにね」

「でしょ?なんか女子とか超怖いし、あんなとこにいると命がいくつあっても足りないよ」


もう一度大口でおにぎりにかぶりつく。

頬張りすぎてまた喉に詰まりかけ、急いでお茶で流し込んだ。

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