麗しの彼を押し倒すとき。


今朝登校して自分の教室に向かうと、私を出迎えたのは静寂だった。

何故か私が教室に入った瞬間室内が静まり返って、少ししてからまたざわめきを取り戻した。

女子だけでなく男子からも少し遠巻きから見られているような状況に、落ち着かないまま席に座る。

普通に挨拶してくれたのはおーただけだった。


そして知らされたのが、さっきの理由。


『柚季ちゃん鮫島たちと仲いいでしょ?だからちょっと騒がれちゃってるんだよ』


どうして凪たちといると騒がれるのか、その理由はなぜか深くまでは聞けなかった。




「…とりあえず私、ここで平和に暮らすんです」


そっと呟いた私に桃子先生は軽く笑った。そして席を立ち、昨日のようにコーヒを注ぎながら。


「そんなに上手く行くかしら?」


なんとも物騒な言葉を口にして、ますます私を不安の底へと落としたのだった。

< 115 / 162 >

この作品をシェア

pagetop