麗しの彼を押し倒すとき。
☆
今日は何だか男の子とばっかり喋っている気がする。
授業中、何となく左隣にいる波留くんを見ながら考えていた。
「ねぇ波留ー。明日どーしよっか?」
「うーん。じゃあさ、みきてぃがこの前見たいって言ってた映画いこーよ」
「え!いこいこ!あの映画超見たかったんだけどね、波留と行きたかったから我慢してたの!」
楽しそうに女の子と話している波留くんを横目に、頬杖をつきながらふぅ…と溜息を吐いた。
今まで女子校で男の人と話すことが少なかったから、そう感じているかと思ったけれど……やっぱりそうだ。
この学校に来てから、一度も女の子と言葉を交わしていない。
思わずじっと波留くんの横顔を見つめていると、不意にその顔がこちらに向いた。
視線が交わり少し恥ずかしくなって瞼を瞬かせると、波留くんがゆるく口元を持ち上げにっこりと微笑む。
だけどその頬笑みが長く向けられることはなかった。
「ちょっと―波留。私とはいつ遊んでくれるのー?」
それまでおとなしく前列で座っていた女の子が、後ろを振り返り波留くんに笑いかけると、それとは比べ物にならない厳しい目つきで私を睨みつける。
そんな怖い顔しなくても。
波留くんに向けられている笑顔とのあまりの差に苦笑いを返すと、ぷいっとそっぽ向かれてしまった。
早くも一日目にして終わった、私の新生活。
私はけらけらと横で談笑を続ける波留くんの方を見ると、もう一度その横顔に溜息を落とした。
今日は何だか男の子とばっかり喋っている気がする。
授業中、何となく左隣にいる波留くんを見ながら考えていた。
「ねぇ波留ー。明日どーしよっか?」
「うーん。じゃあさ、みきてぃがこの前見たいって言ってた映画いこーよ」
「え!いこいこ!あの映画超見たかったんだけどね、波留と行きたかったから我慢してたの!」
楽しそうに女の子と話している波留くんを横目に、頬杖をつきながらふぅ…と溜息を吐いた。
今まで女子校で男の人と話すことが少なかったから、そう感じているかと思ったけれど……やっぱりそうだ。
この学校に来てから、一度も女の子と言葉を交わしていない。
思わずじっと波留くんの横顔を見つめていると、不意にその顔がこちらに向いた。
視線が交わり少し恥ずかしくなって瞼を瞬かせると、波留くんがゆるく口元を持ち上げにっこりと微笑む。
だけどその頬笑みが長く向けられることはなかった。
「ちょっと―波留。私とはいつ遊んでくれるのー?」
それまでおとなしく前列で座っていた女の子が、後ろを振り返り波留くんに笑いかけると、それとは比べ物にならない厳しい目つきで私を睨みつける。
そんな怖い顔しなくても。
波留くんに向けられている笑顔とのあまりの差に苦笑いを返すと、ぷいっとそっぽ向かれてしまった。
早くも一日目にして終わった、私の新生活。
私はけらけらと横で談笑を続ける波留くんの方を見ると、もう一度その横顔に溜息を落とした。