麗しの彼を押し倒すとき。
「……会わない間に肉増えたな」
茫然とする私の腰の肉を彼がさりげなく摘み、表情も変えずに口を開く。
だけど今はそんな事、目の前の問題に比べればどうでもいい。
私は彼のその行動を軽くスルーすると、もう一度その胸に触れてみた。
が、やっぱりそこには硬い筋肉の板しか感じられなかった。
こうなると、考えられる答えは一つしかない。
そう、凪ちゃんが本当は男だった、ってことだ。
「そんな…」
自分の中でたどり着いてしまった最悪の結末に、頭の先から血の気が引いていく。
「こら、聞いてんのか淫乱女」
「……」
「おい」
「……聞いてない」
「は?」
「凪ちゃんが、お、男だったなんてっ…聞いてないっ!」
綺麗な彼を押し倒している事実なんか吹き飛んだ私は、青ざめながら叫んだ。