【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
*不良サマと私の過去*
走って、走って、走ったけど。
「……っ待てよ!」
向坂くん……男の子には、勝てるわけも
なくてあっという間に追い付かれてしま
った私。
私の腕を後ろから掴んだ向坂くんは、涙
をぼろぼろと溢す私に気づくと、一瞬目
を見開いて、苦虫を潰したような顔をし
た。
「……泣くなよ……」
そう言いながら、私を掴む力を少し緩め
るとそのまま私を引っ張ってどこかに連
れていった。
連れてこられたのは、屋上だった。
涼しい風が、涙だらけで熱くなった瞼を
冷やすように撫でていくのを感じると、
ほんの少しだけ、気分が落ち着いて。
そのまま向坂くんに促されて、フェンス
にもたれ掛かるようにして座った。
「……何も、逃げることないだろ……」
だって。
だって、しょうがないじゃん。
「向坂くんが……約束破るからです…」