【完】俺に溺れろ！～最強ヤンキー君からのアイラブユー～

「ふぇ……っ」



今まで張り詰めてたものが、その瞬間、
壊れたように。



堰を切ったように、涙が溢れだして、と
まらなくなった。



「は！？お、おい、泣くなよ……───
っああもう！」



向坂くんが、ぐしゃぐしゃっと自分の頭
を掻き乱したかと思うと、



「泣くお前が悪いんだからな。嫌だって
言っても離してやんねー」



そう言って、ふわりと私を抱き締めた。



鼻腔を満たすのは、柔軟剤の柔らかい香
り。



男の子なんて、ヤンキーなんて嫌いなの
に。ほんとは、突き放したいと思ってる
はずなのに───……。



「……教えてくれよ、お前のこと。全部
……聞いてやるから。抱え込むな」



そんな宥めるような優しい声と、温かい
温もりに、安心してしまったんだ。