【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
*空side
守りたい、と強く思った。
───昨日の男が本当に兄貴なのかと尋
ねれば、彼女は怯えたように震えた。
まるで今から怒られる子供のように。
その揺れた瞳の真意なんて、汲み取れな
かった。汲み取ろうとも、しなかった。
ただ、その瞬間、俺の心に芽生えたのは
、どろどろとした感情と、苛立ち。
あの男が泣き虫兎の兄貴じゃないってわ
かったら、当然のように出てきた、"じ
ゃあアイツは誰だよ"って疑問。
ただそれだけが知りたくて。
問い詰めるように泣き虫兎に近づいた瞬
間、ソイツはその瞳に鋭い嫌悪を光らせ
、逃げ出した。
その刹那、鈍く切りつけられたように傷
んだ、俺の胸。
はっきりとした拒絶に、一瞬、息が詰ま
り、心臓が止まるような錯覚を覚えたん
だ。