【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
「ケータイ、貸せ」
そう言ったからケータイを差し出すと、
何か操作をしてから、私にケータイを返
した。
ディスプレイに表情された、【向坂空】
の文字と、電話番号と、アドレス。
「……なんかあったら、使え」
そんな優しい向坂くんに、なんでか泣き
たくなった。
「あと、それとお前な、敬語ヤメロ」
「え……」
「これも命令、な」
ニッ、といたずらっ子みたいに笑って、
言われたら───……
「……うん」
従うしか、なくなっちゃうよ。
電話帳に表記されたその文字と。
絶え間なく触れる、君の優しさに。
……少しだけね、胸がキュンッてした。