【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
「俺なんか、馬車馬のように働きなさい
って言われたんだぜ?」
「御愁傷様ー」
俺はそう言いながら鉄板の上で麺をかき
混ぜた。
俺は焼きそば担当。
こんなくそ暑い中、焼きそば作るとか、
最早自殺行為に等しい。
遠くに見える、太陽の熱で歪む海が、愛
しくなった。
海……、入りてぇな……。
はぁ、とため息をついて、鉄板に視線を
戻した時───……
「あれ…。向坂くん?」
暫く聞いていなかった声がして、俺は反
射的に顔を上げた。
「……泣き虫兎!……と…」
そこには水着姿の泣き虫兎と……泣き虫
兎の偽物兄貴が居た。
向こうも俺に気付いたらしく、ニコッと
人当たりの良さそうな微笑みを浮かべな
がら会釈してきた。