【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
本当は、さっさと携帯を取り出して、今
すぐにでも帰りたいのに。―――そうす
れば、良かったのに。
私はどうしてか、彼に近寄ってしまった
。
そっとその煙草に手を伸ばして、その煙
草を抜き取る。
―――ほとんど、無意識だった。
その瞬間、彼がゆっくりと顔をあげて、
まだ焦点が定まらない、トロン、とした
彼の瞳とぶつかってしまった。
「……お前、なにしてんだ?」
「……っ」
そんな風に問われてから、自分がとんで
もない事をしでかしたと知る。
あんだけ関わらないように、って気をつ
けておきながら、まさか自分から関わり
を持ってしまうなんて―――……。
逃げ出そうにも、体が固まってるし、煙
草を握ったままだし。