【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
*空side
泣き虫兎と話さなくなってから、もう随
分と経った。もう少しで1ヶ月。
まだ唇に、この手に、アイツの温もりが
残っているのに、ただただ、遠い。
あんなに近くで見れていた笑顔でさえ、
今じゃ幻だったんじゃないかって、思う
くらいに。
「澪……」
ポツリ、意味もなく呟いた名前は、秋風
というには冷たすぎる風に拐われていっ
た。
ダメだ……屋上に居ても、どこか感傷的
になるだけで、余計に虚しさに襲われる
。
引き換えそうか、と踵を返そうとした瞬
間、
「無意識に名前呼ぶくらい好きなら、避
けなきゃいいのに」
どこか嘲笑うような表情で、豊が立って
いた。
「……んだよ」
「ん?ここに居るだろうなーって思って
、さ」