【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
喋るって、何を?世間話?
……そんなの、矢渕くんと出来るわけが
ない。矢渕くんだってする気もないに決
まってる。
「……あんまり頑なだと、意地でも喋ら
せたくなるんだよね」
ふと、先ほどよりもワントーン低くなっ
た声に、肩が跳ねる。
恐怖がじわじわと、でも確実に距離を縮
めているような感覚。
ぎゅ、とそれに耐えるように目を瞑った
瞬間、さっきよりも大きく、全身が跳ね
た。
え……何……。
「あれ、抵抗しないのー?」
クスクスと、意地悪そうな声が聞こえる
。
でも待って……こんなの、いくらなんで
もやりすぎ…。
「やめて……下さい……」
私は小さくそう言うと、撫でるように私
の太ももに触れていた矢渕くんの手のひ
らに、自分の両手を添えた。