【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
本当は無理やりにでも退かしたかったん
だけれど、怖くて震えちゃって、そこま
での力は無くて。
だけど私の異常なまでの震えに気がつい
た矢渕くんは、面白くなさそうにその手
をどけた。
「……俺じゃなくて……」
「え?」
手が退いた事に一先ずホッとしていると
、不意に呟くようにして聞こえてきた声
。
矢渕くんの方を向けば、彼は何かを考え
込むようにして、机を睨んでいた。
「あの向坂って男だったら、嫌がんなか
ったのかよ?」
「……え」
さ、向坂くん?
「なあ、お前、あの男とどこまですすん
でんだよ」
今度は私をしっかりと見つめながら、で
もどこか苦しそうに、怒ったような口調
でそう尋ねてきた。