【完】俺に溺れろ!~最強ヤンキー君からのアイラブユー~
声になったのは、たったそれだけ。
そもそも自分から話かけるのなんて、絶
対に無理なのに、しかも───。
……向坂くん、怒ってる、の?
ドアの所に立つ向坂くんは、不機嫌そう
に唇を引き結んでいた。
それから、何も言わずにこちらまで歩い
てきて、ドカッと椅子に座る。
「……何かされたらって、俺は悪者か」
不意に紡がれた低い声に、思わずビクッ
と震えたのと同時に、さっきのかなえち
ゃんとのやり取りを思い出した。
も、もしかして───。
「き、聞いてたんですか?」
「聞こえたんだよ。……つか、座れば?
」
そう促されて、机を挟んで向かい側に座
った。
「……」
「……」
……ど、どうしよう。気まずすぎるし、
話題もないし。