沿道の果てから
やがて「倉山文具店」

と、古めかしい表札の立っている店まで辿り着いた。

いやに古い。

どうせ、断られる事は目に見えているのだから
適当に挨拶だけは
しておこう。

「すいません」

この通りには似つかぬ程に 整った紺色のスーツを着こなし

ガラリとスライド式の扉を、左へと開けた。

途中、開けるのに苦労したが
力強く戸を開けた。

中には、誰もいない。

不用心な所は、いくら都内とは言え
田舎である事を

如実にしていた。
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