いちご大福





「あ、ネオンおはよー♪」


教室に入ると希美が駆け寄ってきた


「退院できて良かったねー!寂しかったんだからぁっ」


そう言うと、ギューッと抱きついてきた


自慢のロングヘアから誕生日にあげた香水のにおいがする


「私もさみしかったしー」


「ネオン生きてたんだ(笑)」


どこからこんな毒舌が飛び出してきたのかと思うと、希美の彼氏。啓だった


啓はイヤミったらしく祐也に目配せしている


今の言葉は祐也には聞こえていなかったみたい


啓は近所の小さな病院の跡取り息子


少しの風邪くらいはそこで見てもらってたから



小さい頃はいつも啓と祐也で遊んでたんだ



今じゃありえないけど



でも、正直啓は希美と並んでも浮かないくらい美形だ



なのにこんなににくったらっしい性格で・・・笑





「啓?ネオンのこといじめないでよー」


「はぁーい。すいませんでしたー」


「悪かったですねーくたばってなくてー!」


舌を出して反攻してやった


「おーい、席つけー」


担任の金田先生が教室に入ってきた


まあまあ年配のおじいちゃん



「桐谷。」


「はい。なんでしょ?」



「あんま無理すんなよ。上村とかいう人から電話がかかってきてなぁ…」



「はぁ?!!!」




あいつ何考えてんの?!!!


上村なんて知り合いは蓮お兄ちゃんしかいないし


ましてやそんなわけわからないことするのなんて


蓮お兄ちゃんしかいない



私は授業あいだの休み時間に病院に電話をかけた



「もしもし?ネオン?」



「先生?!!もしもしじゃないし!!」



「じゃあ、なんて言えばよかったんだよ」



「いや…ていうか!!金田先生に電話かけたでしょ?!!」



「そうだけど、なんか問題でも?」



「金田先生怯えちゃってたし!!」



「それはその先生とやらが悪いんだろ」



ほんとなんなのコイツ…



「俺はお前が心配なんだよ」



"俺はお前が心配なんだよ"



不思議な現象がおこった



同じ声がケータイからも後ろからも聞こえてきたのだ























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