いちご大福






「来ちゃった」


私はケータイを握り締めたまま後ろを向いた


今、紛れもなく目の前に蓮お兄ちゃんがいる


でも、私はイマ学校にいる


一体何が起こっているのだろうか


「ネオン、そんな苦虫を噛み潰したような顔して」


誰のせいでこんな顔だと思ってるのかな…


「なんでいるの?」


なんとか思考を再開させて質問をかけた


「この学校の保健医に用があってね。ついでにネオンの様子見に行こうかと思って」



「ちょ…本気でストーキングかと思っちゃったじゃん」



「被害妄想はやめてくださーい」



蓮お兄ちゃんは白衣のポケットに手を突っ込んで舌を出した



小学生じゃないんだから…




キーンコーンカーンコーン――――――



「チャイムなっちゃったけど、いいの?」



「あ、いいんだ。次体育だから保健室で待機なの」



「なんか、ごめんな。ほんとは体育やりたいって言ってたのに…」



蓮お兄ちゃんは急に子犬のような目つきになって、しゅんとしている


なんだかそんな蓮お兄ちゃんが可愛くて、つい吹き出した



「なんだよ…人が申し訳なく思ってんのに」



「ごめんごめん(笑)でも、私は大丈夫だから。体育できなくたってどうってことないし。ていうか蓮お兄ちゃんのせいじゃないしね。」



「そうか?


いやでも・・・


ごめんな」



先生は、はにかんでぽんぽん私の頭を撫でた


「んじゃ、俺行くけど健診さぼんなよ」



「わかってるよ。気をつけてね」



「おう」



そう言い残すと蓮お兄ちゃんは軽快に階段を降りていった


























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