いちご大福
「んぅっ・・・」
まぶたが重い。
規則的な電子音が聞こえてきた
あ、そっか。病院だ
そういえば、手がなんかあったかい
気持ちいいな
なんだろ
誰かの手…?
誰かって誰だ?
重い目を開けて手のほうを見た
「起きたか」
繋いでいた手はあのお医者さんの手だった
「ぇ…あ。はぃ」
ど、どうすればいいんだろ//
手が…
「顔。真っ赤だな。熱あんのかな」
そう言って先生は額におでこをくっつけてきた
「ぃや。ちがうょ」
息がかかるくらいの距離に顔がある
よく見ると一つ一つのパーツが綺麗でお人形さんみたいだ
「先生は誰?」
そう言うとようやく顔を離してくれた
「医者だけど」
「それはわかるんだけど…上村先生ゎ?」
上村先生は私の主治医で、いつも先生が私の担当
やさしいプーさんみたいなおじいさん笑
「父さんか?父さんなら定年退職だが」
父さん?!
ネームカードを見ると上村蓮(カミムラレン)と書いてある
「ってことは先生の息子?!」
「そう。父さんの代わりにお前を見なくちゃならなくなったって訳」
「そう…なんだ。」
こんな自己中そうな先生なんて…
大丈夫かな…
♪♪♪
携帯の着信音がなった
「病院内はマナーモードなんだけどなぁ」
「ごめんごめん」
寝かされていた安静室を出ようとすると腕を引っ張られた
「まだ出ていいなんて言ってない」
「ケータイなってんじゃん。離して」
「ここででりゃいいだろ」
なんなのこいつ!!
仕方なくその場で電話を取った
「もしもし?」
電話の相手は祐也だった
「祐也?今日はごめんね。」
「いいよ。ネオンの体の方が大事だしね」
「うん。ありがと。」
いつものように他愛もない会話をしていると
いつの間にか30分もたっていた
「ごめん。切るね」
「うん。おやすみ。」
笑顔で電話を切ると、隣でしかめっ面の先生がいた
「ごめん。こんなに長くなるつもりなかった…」
「ふーん。」
「やっぱり祐也と付き合ってるんだ」
「…え?」
急に背中に悪寒が走った
「何で祐也の事知って…」
「本当に覚えてないんだね。ネオン」
先生は私に向かって微笑んだ――――――