いちご大福





***蓮side



ピピピピピピ…♪


「あっ、ネオン。鳴ったから見せて?」


「ゲホッ…はぃ」


ディスプレイには38度5と表示されている


完璧上がってんじゃん


意識を取り戻していきなりこれじゃ持たないだろ・・・



「ネオン。ちょっと点滴とってくるから寝てろよ?」



「点滴やだっ!!熱なんてない!!」



布団をかぶって小さくなってるネオン


点滴なんて口に出すんじゃなかった・・・


「わかったわかった。じゃあ胸の音だけ聞かせて?」


「ゲホッゲホ…ッン…ひとりゎやだぁ…」


ちょこんと顔の上半分だけ出してるネオンの顔は涙で少し濡れている


「わかった、行かない。ちゃんと隣にいる。」


そういって顔にかかっている前髪を上げてやると一粒涙が伝った


「寂しかったな。ごめん」


具合が悪くて不安定になってるネオンを一人にさせれるわけないよな


医者としてダメだわ…俺


「ちょっと胸の音聞くよ?」



「ぅん…」



胸の音は思ったより悪くない



喘息引き起こすまではならなさそうだ



「今日はとなりにずっといるから。点滴しないし。寝ようか」



「ほんとに?!!」


さっきまでの辛そうな表情とは一変して太陽のような笑顔になった


「ずっといてね・・・?」


「わかってるよ。だから大人しく寝るんだぞ?」


「うん」


素直に布団に潜り込むネオン


「おやすみ・・・てぇ握ってて?」


ネオンは顔を少し赤くしている


熱があるせいだと思うけど


どうしても期待してる自分もいて・・・


そんな照れた顔されると理性が保てない笑


「やっぱり、ダメ・・・?」


「あ、ごめんごめん。はい、握ってるから」


やわらかくて小さな手を握ると


すぅっと寝入ったネオン


この手を一生守るのは俺だから


祐也なんかに渡さない


この愛しい手に誓った






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