いちご大福
***蓮side
俺と真美が付き合い始めたのは
俺が研修医になってすぐの頃だった
「きゃぁっ!!」
―――――――ガッシャーン…
病院の廊下を歩いている時に
背後から物を盛大に落としている人が来た
''ったく…朝から何なんだ…''
ふりむくとカルテやらなんやらが散乱していた
周りには俺しかいないようで
空気的に拾わなかったらひどいやつになってしまう
俺は歩み寄り一緒に拾い始めた
「大丈夫ですか?怪我ないですか?」
”おっちょこちょいだな…”
「あっ、ありがとうございます…!!大丈夫です!!」
そう言ってお辞儀をした瞬間に
そのナースさんの胸ポケットからペンが全部落ちた
「ぷっ…笑」
「きゃぁ!!私何やってるの…すいません…」
「ごめんごめん俺こそ笑っちゃって…」
二人してペンとカルテを拾っていると
ナースさんの名札が見えた
"柊 真美(ヒイラギマミ)"
「あっ、私小児科でナースやってます。真美って言います」
名札を見ているのがバレたみたいで
自己紹介をされてしまった
「あ、俺は研修医で昨日から小児科勤務してます。
上村 蓮です。」
なんだか改まりすぎて二人で吹き出した
「ふふっ笑
蓮先生ですね。
覚えておきます。」
口に手を当てて微笑んでいる真美さんは
あどけない少女のような表情で
その時転んだ時にできたであろう
カスリ傷を見つけた