いちご大福
「ねぇ、蓮くん?」
ある昼下がり
一緒に食堂でお昼を食べていた時だった
いつの間にか真美は蓮くんと呼ぶようになっていて
もうこの時ぐらいから
俺らが付き合っているという噂は立っていた
「蓮くんはすきな人とかいないの?」
切れ長の大きな目で
上目がちに顔を覗き込んでくる
「え?・・・あー。すきな人かぁ・・・」
突拍子もない質問に戸惑った
すきな人なんてこの仕事に就いてから
考える余裕もなくて
改めて聞かれると
戸惑ってしまった
「そーゆーはなし聞かないなーっておもってさ。
別にいなかったらいなかったでいいんだけど・・・」
「けど・・・?」
真美はなにか言いにくそうに下を向いて口を動かしている
「きになるじゃん。言ってよ。」
「わたしじゃだめかな?」