いちご大福



「ねぇ、蓮くん?」


ある昼下がり


一緒に食堂でお昼を食べていた時だった


いつの間にか真美は蓮くんと呼ぶようになっていて



もうこの時ぐらいから


俺らが付き合っているという噂は立っていた



「蓮くんはすきな人とかいないの?」


切れ長の大きな目で

上目がちに顔を覗き込んでくる


「え?・・・あー。すきな人かぁ・・・」

突拍子もない質問に戸惑った


すきな人なんてこの仕事に就いてから



考える余裕もなくて


改めて聞かれると


戸惑ってしまった


「そーゆーはなし聞かないなーっておもってさ。



別にいなかったらいなかったでいいんだけど・・・」


「けど・・・?」


真美はなにか言いにくそうに下を向いて口を動かしている


「きになるじゃん。言ってよ。」


「わたしじゃだめかな?」







< 46 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop